◆富良野公演にご来場頂いた方々のアンケートから幾つかをご紹介いたします。
■60代・男性
戦争に対する数々の考え、国民の平和に希求する心が薄れる今日、この作品のもつ内容は貴重な提言だと思います。靖国神社というと、右翼と直線的に思われてしまうが、そのような短絡的な考えに厳しい指摘をした芝居でもあると感動いたしました。
■20代・女性
昨年夏の公演を観劇した後、ドラマも拝見しました。そして今回3回目、観る度に感じる部分が違いました。最初は、日本のために死んだ兵士から今の日本はどう見えるのか考えさせられました。今日は、私の立場から見て戦争で亡くなった方々はどんな思いで海にいるのだろうか…以前とは違う感覚をもらいました。うまく言葉にできず自分の言語力の乏しさが悲しいです。これからも毎回必ず観ます。その度にサインを下さる倉本先生、役者の皆様、ありがとうございます。
■今回も大変素晴らしかった。東日本大震災で節電政策がしばらく続きそうですが、今まで知らず知らず豊かな生活に慣れてしまっていました。改めて昔の生活まで戻らなくても、生活を見直したいと思います。この「歸國」はそんな思いを決意させるものとなりました。
■40代・男性
子供とふたりで毎回来ています。まだ早いかも…と思いつつですが、何か感じることがあればと、これからも感動を求めに来ます。
■今の豊かな生活があるのも、命を賭して国を守ってくれた大勢の先人方のお陰と感じました。傷つくことを恐れてしまう自分をちっぽけに感じました。戦争で命がけで必死に戦ってくれた方、生き抜いて復興に立ち上がった方がいるお陰で今があることをもっと大勢の方、特に同年代、下の世代の子供たちにも観てもらえたらと思います。
■戦争について知らなければならないと思いました。私の世代はもう戦争が本当にあったのだろうかと疑うほど遠い昔のことで、関係のないことのように感じてしまいますが、「確かにあった」という事実を知り、節目の日には思い出さなければならないと思いました。思い出して、今の日本のために使命を果たした方々に感謝しなければならないと思います。また、その方たちに誇りを持って今の日本を見てもらう為に、日本国民としての礼節を大事にしなければならないと思います。皆さんの熱い演技に感動しました。
■泣いてしまいました。何かと問われるとはっきりしませんが、「自分のこれからの生活を考えなくちゃ」と今は思っています。私は甘い人間なので、今後今の気持ちが続くかどうかは自信がありませんが、観る前とは違った、どこかに何かが残ることは確かです。
■部下の迎え火を焚いている老人のシーンに打たれました。私たちの見ていた現代が、いかに浅はかなものか、その根底に多くの尊い命があることを知りました。
■60代・女性
私達の世代は多分、夜は暗くても、便座が暖かくなくても、いつでもお金がおろせなくても、バブル期前の生活に戻って家族と暮らせるなら、温かいみそ汁が飲めるならと、覚悟ができているのに、どうして“上の人達”はそれが分からないのでしょうか!“富幸”はひずみができ、“不幸”を招きます。“貧幸”を大切にして生きていきます。
■60代・女性
貧幸を教えられた。私の年齢と重なるもので、多くの人たちのお陰で今があることに深く感謝した。心洗われ、心正されました。来て良かった。
■今日で観るのが5回目になります。富良野に住んでいて良かった。何度観ても涙が出てしまい、グッと心に来ます。戦争を知らない私ですが、本当に心の豊かさについて考えさせられます。
■50代・女性
倉本作品のファンとして、劇団の演目を拝見でき、嬉しさで胸が一杯になりました。父が中国との戦争で戦った、辛い経験を聞いていました。今、私達が出来ることは、二度と同じ過ちは繰り返さない、そして物欲の幸より、精神的な幸せを求めていくことです。
◆富良野公演にご来場頂いた方々のアンケートのうち、修学旅行生および先生方からの感想を幾つかをご紹介いたします。
■戦地へ向かう若い兵士が「どうして初めて会う人を憎んでもいないのに殺さなければならないのか」と言っていた言葉が心に残った。今の私たちの平和な暮らしがあるのは、昔の人たちのお陰と思い、“平和”“楽”“便利”という言葉を取り違えないように暮らしていきたいです
■現代の日本の在り方はこれでいいのか?どうあるべきなのか?昔と今では何が違うのか?など様々な疑問が頭に浮かんでくる作品でした。“便利と豊かは違う”というセリフが今も頭を離れません。便利にどんどん発展してゆく時代。この発展は素晴らしいものだと思うが、その一方で一つまた一つと失われてゆくものがある。このことに現代の人が気付き、本当に大切な“家族”“友人”などを忘れてはいけないと思う。
■英霊たちにとってなくて生活できていたものが、私たちの生活にありふれているせいで、人間としての心も廃れてきているのではないかと思った。自分を育てた母の死を見捨てた息子に、それが表れていて、私も年をとって両親が死ぬ時にあぁいう心無い対応をしたくないと思った。その面で今、日本は大変危険な状態にある。だからこそ、今までの失敗や人と人との絆、信頼関係を見直すべきだと思う。
■去年、靖国神社の就遊館に行きました。その時に感じた気持ちや兵士の人たち一人一人の写真や名前を思い出しながら公演を拝見させて頂きました。戦争を知らず、豊かさと便利の中に生きる私たちにとって、過酷な戦争の背景に、その時代を生き抜いた人々の強さがあることを忘れず、語り継ぐことが大切だと思います。過去があっての今の日本だということは、今を当たり前だと思いがちな生活の中で、家族の大切さや本当の愛情などを改めて考えさせられ、思わず涙が出ました。この公演で心に突き刺さった感情を忘れずに、これからの日本の平和を思いながら、英霊に恥じないように生きていこうと思いました。
■結婚し、一緒に暮らす未来を描いていた恋人たちの全てを壊してしまった戦争。生きて帰って、一緒に音楽も奏でて欲しかったです。どんどん便利になり、それと同時に心が貧しくなっていると言われた時、ショックだったけど、納得もしました。戦争で亡くなった人たちが守ってくれたこの国を大事にし、日本人としての心を少しでも取り戻したいと強く思いました。
■海の中で未だに見つけられずにいる人々が、30万人もいるということにびっくりしました。海の中に眠る全ての英霊たちが、安心できるような日本にするのは私たちの世代だと思いました。
■戦争の話はこれまで様々な形で知っていました。しかし今回の公演では、戦争で死んだ人の目線で今の日本の姿を見るという、今までになかった視点でした。彼らが命を落としてまで守ったお国のため、家族のためという“心”を、私は今まで軽く見ていたかも知れません。
■一番印象に残ったのは、リリーあけびが女の子に呼吸器を止めてもらうシーンです。私も最近祖父が肺炎で入院し、リリーあけびと同じ状態になって死んでしまいました。「悪党でも親は大事にしたもんだ」というセリフを聞き、私は祖父を大事にしていたかなぁと思いました。あまり大切にできなかったかもしれません。そう思うと、もっとこうすれば良かった、などという後悔がたくさんうまれ、まだ生きている祖父や祖母、両親や弟を大事にしようと思いました。
■役者さんの魂を感じました。出兵で大切な人と離れる辛さ、爆撃の恐ろしさ、ひしひしと伝わってきて、胸が苦しく、涙が止まりませんでした。便利を求める今の日本、楽をする人間たち…今までの私の生き方を見直すと、反省する面がたくさんあるように感じました。そして親を大切にする心。この心はずっとずっと持っていたいです。自分が将来、生むかもしれない子どもに教えたいと思いました。
■最初は、今の日本に戸惑う兵士たちが滑稽に見え、面白く感じていました。しかし、自分にとって当たり前に思っていた生活がだんだん歪んで見えてきました。携帯電話での人との会話、医療の進歩によって本人の意思と関係なく引き伸ばされる命、失われつつある家族の絆。私が生まれた時には戦争の影なんかどこにもなくて、自分のしたいことが何でもできて、まさに“便利”な世界。でも劇中で“豊かさ”と“便利”の違いを指摘された時、恥ずかしさがこみ上げてきました。自分の体を動かすことを面倒だと感じるようになった私を含む現代人を見て、戦争で亡くなった人は悔し涙を流しているに違いないと思ったのです。戦争で亡くなった人々と、現代に生きる私たち、どちらの心が“豊か”だったでしょうか。自分の命は生んでくれ、育ててくれた親によって存在し、私の平和な生活は、ずっと昔の、日本を守るために死んでいった人々の命の上で成り立っていると気付かされました。私は彼らを二度と死なせません。
■今回の公演を見て、戦争の恐ろしさだけでなく、人間の心の弱さも実感することができました。確かに現在は便利なものが多く、豊かな生活をしていますが、それによって自分の考え方がいつの間にか大切なものを見失っていることが恐ろしいと思いました。公演を見ながら、祖父母や亡くなったとても優しかった曾祖母、両親のことを思い浮かべていました。僕は、僕を愛し、ここまで育ててくれた人々への恩を忘れず感謝し、常にその自覚を持っていきていきたいと思いました。
■戦争についての勉強は中学生の時に教科書で読んだり、広島の資料館や原爆ドームで学習しましたが、亡くなった人々の視点から戦争を考えるのは初めてでした。こんなことが日本中で起こっていたのか、曾祖父はどんな気持ちで戦地から帰ってきたのだろうか、と考えました。戦争で死んだ人に少しは誇れるように一生懸命出来ることをやっていきたいです。
■この劇を通して最も心に残ったシーンは、大宮上等兵が、甥の健一が実の母であるあけびが死んだ時の「肩の荷が下りた」という発言に、思わず牛蒡剣で健一の胸を突き刺したところである。大宮上等兵は、人間に接触してはならない、接触したら海には帰れないという状況の中で、甥を刺してしまったということは、よほど彼の家族に対する思いやりがあり、家族を大切にしていたのということを感じた。戦時中は家族に対する思いが今に比べて何倍も大きいものだったということを知って、自分の家族に対する思いやりを思い返すことができた。また、今後の日本も便利さばかりを求めるのではなく、人間同士の絆や愛を求めるようになればいいなと感じた。
■現代の日本の在り方についてとても考えさせられました。子が親を大切にするという当たり前のことが、便利さを求めることに必死になっている今の日本では足りていないような気がしました。
■以前『ニングル』をこちらで同じく修学旅行で拝見した時からファンになり、演技の素晴らしさを初めて知りました。それまではテレビのトレンディードラマを見ていましたが、もう見る気がしなくなってしまいました。舞台で役者さんが真剣に演じる姿はとても美しかったです。今回は原作の『サイパンから来た列車』を読んできました。戦後10年という設定から、戦後66年という新たな設定で今現在を見つめ直すことが出来ました。日本はどこで間違ってしまったのでしょうか。「あんなに太ももを出して親は何も言わないのか」というセリフが良かったです。親は子どもに迷惑をかけたくないので、叱ることもできず、“ほったらかし”と“子どもの個性を認めること”を勘違いしています。父の権限などありません。女性としての品格を下げるなといつも授業で言っていますが、虚しい風が吹いています。本当にもどかしい日々ですが、北海道・富良野の木のように、諦めず言い続けていこうと思います。日本人はもっと恥を知るべきです。
◆全国ツアー公演にご来場頂いた方々のアンケートから幾つかをご紹介いたします。
■毎回進化してゆく舞台、今回が一番良かったです。より感動的になりました。ちょうど毎朝見ているNHKのドラマの内容とも重なり、平和な現代に生きている幸せを改めて実感しました。そして、平和な時代を願って名付けられた私自身の名前に込めた、両親の思いを初めて分かったような気がしました。
■昨年も観て、倉本先生がロビーで握手して下さったのには感激しました。戦後生まれで、戦争の現実は知りませんが、二度としてはいけないと思います。祖父は戦死し、祖母や幼かった母や叔母は、苦労の中生きて来ました。私たちは語り継ぎ、戦争を繰り返さない覚悟を持たなければいけないと思いました。
■色々な人の犠牲の上に成り立っている今の私たちの生活。改めて感謝することを忘れてはいけないと思いました。便利な生活、もっともっとという間に人間らしさを忘れてしまった私たち。人として、温かい心をもった私になりたいと思います。
■これまで数々の芝居を観てきましたが、一番感動しました。平和という言葉に消され、忘れられている事実を再確認する必要があろう。戦争は終わってはいないし、終わらないと思う。
■父が海軍兵学校に行っており、母は思春期と戦争が重なり、反軍国少女で感受性が強かった母はとてもつらかったようです。私自身にとって戦争は重く大きすぎるテーマで、あまり考えないようにしてきたようです。でも、対峙しなくてはならないと思っていて、この公演も、必然性を感じて観に来ました。とても良かったです。ありがとうございました。
■戦死された方々は、今現在の日本を見てどう思っているのか?本当に聞いてみたいです。命をかけて守って頂いた日本は、「命をかけるに値しているでしょうか?」と。
■久しぶりに泣きました。ありがとう。
■真剣に考えさせられました。お金よりも、平和よりも、命よりも、大切なもの、それが“誇り”であり、その“誇り”を失いつつあることが、今の日本の一番の危機だと思っています。
■今の世の中に問いかけたい内容がたくさん詰まっていますね。どんな偉い人の話より、心に残る言葉がたくさんありました。私もがんばって生きてみようと思います。
■倉本作品は、人間の原点を見つめ、世界の日本は如何に豊かさを分かち合えるかに一石を投じるものと思う。日本は世界の中で如何にあるべきかが真剣に問われる時代がやっときました。
■感動しました。来て良かったです。言葉の一つ一つが重くて、何か大切なことを思い出した気がします。彼らがどんな思いを持って現代の日本を見たのか、恥じない生き方をしていきたいと思いました。いつか大切な人ができたら、今日のことを思いたいです。
■祖父、祖母が元気だった頃、小さかった私に話してくれたこと、伝えたかったことをやっと理解できたような気がします。
■3.11の震災があり、原発の事故があり、今年は大変な年になっています。そのことを考えながら観ていました。殺された主人公の甥の「私たちはどこで間違えてしまったのでしょう」という言葉に考えさせられました。日本はどこで道を間違えてしまったのか。これからどうなるのか。大変気がかりです。
◆沖縄県での公演に寄せて頂いたお客様からのお声をご紹介いたします。
富良野塾・富良野GROUPにとって未開の地であり、また、戦争が住民を巻き込んだ沖縄という土地でのこの度の「歸國」上演には、大きな不安があり、何度も検討を重ねました。
それでも招いて下さった皆様、迎えて下さった多くのお客様に心より感謝を申し上げます。
■40代・女性
大変良かったです。初めて、怖くない兵隊さんでした。
■20代・女性
私は戦争体験者ではありません。歴史についてもよく知りません。やすくに神社についても、どっちの意見が正しいのか分かりません。やすくにの漢字すら書けません。両親のことは大切にしているつもりです。でも、「便利」に満ちた生活を送っています。これを当時の人が見たらどう思うのか。
■50代・女性
感動!しっかり立たなくては、と!
■60代・女性
素晴らしかった。戦争で亡くなった方が今の日本をどう見ているか、もう一度考えてみたいと思った。
■30代・女性
沖縄まで来て下さりありがとうございました。戦争で亡くなった様々な方の気持ちを多くの人に伝えることが出来たと思います。
■70代・女性
ありがとうございました。涙があふれます。私たちには、つつましくこの平和を守っていく義務があります。
■40代・女性
日本兵に対する憎しみの感情がなくなった。
■60代・女性
大感動です。自分の生き方に活かしてゆきます。真実は何十年経っても古くなりません。
■70代・女性
沖縄の私たちは戦争を体験したから、余計に伝わりました。初めて、こんなに素晴らしい作品を観ました。
■60代・女性
貧幸。今の日本が、日本人が、最も深くとらえていかなければならない言葉。それを見事に演じてくれたと思います。沖縄の地に来て演じて下さったことに深く感謝。感動しました。
■60代・男性
カーテンコールの最後まで感動いっぱい。涙が出ました。舞台、効果、演技、どれをとってもさすがでした。豊かさ=幸せではない。命を捨てるほどの覚悟はあるのか?いろいろ考えさせられました。
■40代・男性
沖縄で生まれ育った私は、日本兵は悪いというイメージがありましたが、本当に悪いのは日本兵ではなく「戦争」という行為だと思いました。初めて演劇というものを観ましたが、その迫力は、テレビや映画がいくら3Dになってもかなわない「空間」でした。
■60代・女性
戦争は人災。震災は天災。 注意深く世の中の流れを見ていたい。体は水の中、他国の山河かもしれないが、魂は天国に行っていると思う。素晴らしい舞台でした。
■50代・女性
戦争で死ぬことのむごさを改めて実感した。先祖が戦って死んだ場所が開発で軽薄な街になっていて、複雑な思いです。
■30代・女性
とても心を打たれました。今年のお盆は、戦争で戦った祖父の兄に会いに、ひめゆりの塔に行ってきます。
■40代・男性
66年前の沖縄戦は、地獄でした。軍隊は国民を守るものではなく、国を守るものだと私たちは知りました。日本軍の人たちも、地元に帰れば、良い人たち(父であり、夫であり、息子である)だと思います。戦争が起こってしまったら誰にも止められない。起こらないように頑張る、声を上げることこそ大切だと今日強く感じました。ありがとうございました。
■50代・女性
静かな中に強い力を感じた。「ありがとう」と言いたい。この戦争で亡くなったのは、沖縄戦で亡くなった方だけではないんですよね。
■20代・男性
一人の人間として、「今」を考え、「今」があることの有難味を実感しました。自分のこれからの生き方、考え方がプラスに変わると思います。
■30代・女性
「沖縄県で教員となる人は現在を背負う」と先輩から聞いたことがあります。先の大戦で「ひめゆり学徒隊」「対馬丸」の悲劇を起こした温床が、教育の力であったことから、「教え子を再び戦場に送ることのないように」との想いがあるそうです。「忘れ去られた時が二度目の死」というセリフ、深く心に刺さりました。「子どもたちに伝えて」涙があふれました。私たちは語り部となって、次へと繋げていくことが求められていると思います。「私に何ができるのか」を深く考えさせられた作品でした。
■40代・女性
過去があり、今があり、未来へと続いてゆくわけです。とかく私たちは日々の忙しさや、自分の大変さに時間を割き、先人たちの努力や苦しさ、美しさを忘れがちなのだと思いました。両親から古い考え方や、自分の価値観を押し付けられると怒りが出てくるものではありますが、ふと一呼吸おいて、見えないものを見る、聴こえない音を聴く事が必要だと思いました。
■60代・女性
単なる戦争モノではなく、現代の私たちの生き方を深く問いただした内容で、私自身、問われているようです。